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仙台地方裁判所 昭和53年(わ)36号 判決 1978年4月25日

本籍

仙台市花壇一二九番地

住居

仙台市上杉二丁目三番四〇号

歯科医師

向山秀城

昭和一三年八月二六日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官矢田次男出席のうえ審理して、つぎのとおり判決する。

主文

被告人を懲役四月および罰金三〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、仙台市上杉二丁目三番四〇号に居住し、同市一番町一丁目三番一号日本生命ビル内に歯科ニユージヤパンを設け、同歯科医院を経営しているものであるが、自己の所得税の一部を免れようと企て、

第一  昭和四九年分(昭和四九年一月一日から同年一二月三一日まで)の被告人の総所得金額は、二、二八三万八、九五二円でこれに対する所得税額は、七九七万九、九〇〇円であつたにもかかわらず、自由診療収入の一部を除外し、この発覚を避けるため歯科用白金加金等自由診療用原材料の一部を計上せず、架空名義の簿外預金を設定するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ、昭和五〇年三月一五日、仙台市上杉一丁目一番一号所在所轄仙台北税務署において、同税務署長に対し、課税総所得金額が七七八万〇、八三四円で、これに対する所得税額は、一四七万〇、五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額六五〇万九、四〇〇円を免れ

第二  昭和五〇年分(昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日まで)の被告人の総所得金額は、一、七〇六万八、一一〇円で、これに対する所得税額は、四五八万六、五〇〇円であつたにもかかわらず、前記同様の方法により所得を秘匿したうえ昭和五一年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、課税総所得金額が、五九八万二、六一〇円で、これに対する所得税額は、一九万二、七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同年分の正規の所得税額と右申告税額との差額四三九万三、八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、向山恭江の大蔵事務官に対する昭和五一年一〇月一八日付、同月二一日付、同月二二日付、昭和五二年二月一七日付(三通)各質問てん末書及び検察官に対する供述調書

一、向山寛計の大蔵事務官に対する昭和五二年二月三日付質問てん末書及び検察官に対する供述調書

一、鈴木武、門間久行、林正美、清水直之助(二通)、坂本敏彦の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、向山恭江作成の上申書(一)ないし(六)

一、大蔵事務官作成の「宮城県歯科医師会への納入金の調査書」と題する書面、「所得税納付額調査書」、「矯正担当医師の簿外給料の調査書」、「簿外預金残高及び受取利息調査書」、「借入金残高及び支払利息調査書」及び「銀行調査書」と題する各書面

一、鈴木武、村田好一、千田勝義、林正美、小岩常利、門間久行各作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面

一、被告人の大蔵事務官に対する昭和五一年一〇月一八日付、同月一九日付、同月二〇日付(二通)、同月二二日付、昭和五二年二月九日付、同月一四日付(二通)、同年三月三日付、同月七日付各質問てん末書及び検察官に対する供述調書

一、被告人及び証人向山恭江の当公判廷における各供述

一、検察事務官の昭和五三年三月二三日付捜査報告書

判示第一の事実につき

一、小野寺行男作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面

一、押収にかかるノート二冊(昭和五三年押第二二号の一及び二)、昭和四九年分所得税の確定申告書一通(同号の三)及び同年分所得税青色申告決算書一通(同号の五)

判示第二の事実につき

一、向山恭江の昭和五二年二月二五日付、向山寛の昭和五一年一〇月二〇日付、服部誠の昭和五二年一月一七日付、大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、笹原亥三郎作成の答申書

一、押収にかかるノート一冊(同号の二)、昭和五〇年分所得税の確定申告書一通(同号の四)及び同年分所得税青色申告決算書一通(同号の六)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、所得税法二三八条一項に各該当するので、同条項後段により懲役刑と罰金刑とを併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重いと認める判示第一の罪の刑に法定の加重をし、各罰金刑については同法四八条二項により各罪について定めた罰金を合算し、その刑期及び罰金額の範囲内で被告人を懲役四月および罰金三〇〇万円に処し、右の罰金を完納することができないときは、同法一八条により金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、右懲役刑については、情状により、同法二五条一項を適用して、この裁判の確定した日から二年間右の刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 伊藤豊治)

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